京都カグヤライズ vs 九州アスティーダ 立命館いばらきフューチャープラザ ノジマTリーグ 2023-2024

京都カグヤライズ 2023-2024シーズン 12戦目の相手は、今シーズン2度目の対戦となる九州アスティーダです。前回の対戦では、カグヤライズがビクトリーマッチを制し3-2で勝利しています。カグヤライズは昨日、日本ペイントマレッツに初めて勝利し、流れに乗っています。この流れを維持し、ホーム戦2連勝を狙いにいきます。

2023年12月25日 ベンチ入りメンバー

  • 松島 美空 選手
  • 成本 綾海 選手
  • 出雲 美空 選手
  • アドリアーナ ディアス 選手
  • 田村 美佳 選手
  • 枝廣 愛 選手

昨日の日本ペイントマレッツ戦と同じベンチメンバーになりました。前回の対戦とは違い、九州アスティーダには外国籍選手が2名と出澤選手が合流しています。今対戦も一筋縄ではいかなさそうです。

▼用語解説
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第1マッチ:枝廣 愛・成本 綾海 vs 田口 瑛美子・出澤 杏佳

枝廣選手は右シェークドライブ型、成本選手は左シェーク異質攻撃型です。出澤選手は右シェーク粒高攻守型、田口選手は右シェーク異質攻撃型です。

カグヤライズペアは昨日の日本ペイントマレッツ戦の時と同じ、枝廣選手と成本選手のペアが起用されました。対する九州ペアは出澤選手と田口選手の異質ペアです。出澤選手と田口選手の変化と速攻のプレーにどう対処していくかが、試合の流れを左右する重要なポイントになります。

第1ゲーム 序盤からお互いに安定感のあるラリー戦に持ち込む

枝廣選手と成本選手のペアは、昨日の日本ペイントマレッツが初戦、一方の出澤選手と田口選手のペアは今試合が初戦です。両ペアはまだペアリングが浅いため、お互いに思い切り攻めることはなく、安定したラリーを展開し、変化でミスを誘います。中盤からカグヤライズペアが2点リードを維持し、9-7まで2点差が続きます。しかし、田口選手のサービスからの展開で2点取られ、9-9に追いつかれてしまいます。

9-9で枝廣選手のサービスになると、1本目は成本選手がハーフロングのレシーブを打ち、10-9でゲームポイントを握ります。2本目では出澤選手の裏面の粒高によってレシーブのタイミングをずらされてしまい、4球目で田口選手に打ち込まれ10-10に追いつかれます。

1本勝負では、まず出澤選手が巻き込みサービスを使います。対して成本選手が田口選手のフォア側へフリックをし、3球目で田口選手が成本選手のボールに飛びつきます。この田口選手の巻き込み気味の横上回転がかかった飛びつきドライブが入り、枝廣選手のブロックがオーバーしてしまいます。カグヤライズペアは第1ゲームを10-11で落とします。

第2ゲーム 九州ペアの変化と速攻に苦戦する

第1ゲームの接戦を先取した九州ペアに流れが傾きつつあります。さらに、出澤選手が放つ変化の大きいレシーブに、枝廣選手は苦戦している様子です。

出澤選手が裏面に貼っているラバーはかなり硬い粒高で、なおかつスポンジがありません。このラバーは変化幅が激しく、かなり切れた下回転をかけることも、ナックルボールで押すことも可能です。このシーンでは、成本選手が打った上回転のボールが、出澤選手の裏面でのレシーブによって切れた下回転に変わり、そのボールの変化に対応しきれない枝廣選手のレシーブが、ネットに掛かってしまいました。

九州ペアの変化に対し、カグヤライズペアは弧線を高く作ったドライブで返球しますが、打点の高いところで九州ペアにスマッシュされ得点に繋げられません。九州ペアの勢いを止められず、第2ゲームを3-11で落とします。結果、ゲームカウント0-2で敗戦となりました。

第1ゲームが勝敗を分けた試合というような内容の第1マッチでした。第2ゲームでは九州ペアの多彩なレシーブや戦術によりカグヤライズペアの戦術が乱され、苦しい展開を強いられる試合になりました。

第2マッチ:田村 美佳 vs シン ユビン

田村選手、ユビン選手は右シェークドライブ型です。

田村選手は開幕戦以来の出場となります。相手は韓国代表のエースで、世界ランキング9位のユビン選手です。田村選手・ユビン選手共に、両ハンドを振る攻撃的スタイルです。ユビン選手は表面に中国製の粘着ラバーを貼っています。田村選手はユビン選手が繰り出すクセのある球をどうレシーブしていくのでしょうか。

第1ゲーム お互いサービスレシーブが重要になる

序盤では両選手に少し硬さが見られます。お互いに大きなバックスイングは取らず、コンパクトなスイングで速いラリーを展開します。ラリーでは互角の内容になりますが、サービスレシーブのところで田村選手のミスが重なってしまい、先にゲームポイントを握られてしまいます。しかし田村選手は落ち着いた様子でラリーでの緩急やサービスレシーブでフリックを使い、じわじわと追いつきます。

田村選手が追いつく9-10の場面で、ユビン選手がタイムアウトを取ります。ユビン選手は、今シーズンでまだ勝ち星を挙げられていないので、確実に勝ちたいはずです。サービスレシーブでどう攻めるか、作戦を練り直そうとします。田村選手もベンチで作戦を練り直します。タイムアウト明けでは、田村選手がフォア前に横下回転のショートサービスを出しますが、ユビン選手にチキータで狙い打ちされてしまいます。第1ゲームは9-11で落とします。

(写真提供:T.LEAGUE/AFLO SPORT)

第2ゲーム ユビン選手の強烈なバックハンドに苦戦

第2ゲームでも田村選手はユビン選手のサービスに苦戦し、サービスレシーブを狙われてしまいます。ユビン選手はバックハンドに特長がある選手で、回転を重視したバックハンドと厚く当てたスピードのあるバックハンドの使い分けが巧い選手です。この2種類のバックハンドを使い分けられ、田村選手は押されてしまう展開が続きます。終盤に田村選手はサービスレシーブが入り始め、攻める展開を作れるようになりましたが、ユビン選手の仕掛けたサービスの展開で逃げ切られます。田村選手は第2ゲームを8-11で落とします。

第3ゲーム ユビン選手の安定感

2ゲームを取ったユビン選手がさらに勢いに乗ってしまいます。ユビン選手は第1ゲームでかなり緊張していた様子でしたが、第3ゲームに入ってからリラックスしているのか、とても力が抜けていてスイングも速くなっています。力が抜けると余分な力が入らなくなるので、両ハンドを振った際に威力のあるボールを打つことができます。この両ハンドに田村選手は押されてしまい、なかなか点数を重ねられません。終始、流れはユビン選手に傾き、田村選手にとって苦しい展開が続きます。流れを変えられないまま、第3ゲームを1-11で落とします。結果、ゲームカウント0-3で敗戦となりました。

世界ランキング9位のユビン選手の実力が発揮され、田村選手にとって悔しい試合になりました。お互いのサービスレシーブで先手を取れるかどうかで流れが変わった試合でした。

第3マッチ:成本 綾海 vs 野村 萌

成本選手は左シェーク異質攻撃型、野村選手は右シェーク異質攻撃型です。

Tリーグでは久々の対戦になりました。昨シーズンに一度対戦し、その時には成本選手が3-2で勝利しています。同じ戦型ですが裏面に貼っている表ソフトの種類が少し違うので、それぞれのプレースタイルにどのような違いが出るのかに注目したいと思います。

第1ゲーム 回転量で上回る成本選手

まず、野村選手の特長として速い展開でのミート打ちと強烈なパワードライブがあります。成本選手としてはこの特長を封じるために、緩急や変化で得点を重ねたいところです。

成本選手は序盤から緩い攻撃を使い、野村選手の速い展開を封じて5連続得点を奪います。成本選手の表面から繰り出される切れたフォアハンドと裏面から放たれるナックルボールの回転量の差で、野村選手は翻弄されている様子です。この流れのまま相手を圧倒し、成本選手が第1ゲームを11-1で取ります。

第2ゲーム 成本選手のギリギリのコース取り

第1ゲームの流れが第2ゲームでも続きます。成本選手は、野村選手のサービスが台から少し出たことを見逃さず、積極的に打ちにいきます。また自身のサービスの展開では、さまざまな種類のサービスからギリギリのコースを狙った攻撃で得点を重ねます。成本選手の攻撃したボールは相手の懐深くに入り、野村選手が詰まってミスをする展開が多く見られます。成本選手の攻撃的なプレーから作られた流れのまま、第2ゲームを11-5で連取します。

第3ゲーム 球質の変化で得点を重ねる

第3ゲームで、野村選手はミート打ちが入るようになり、調子を取り戻してきたように見えます。野村選手のミート打ちは体の近くでコンパクトにスイングすることで威力が上がります。成本選手としては強烈なミート打ちを封じ、第3ゲームできっちりと締めたいところです。

成本選手は野村選手のミート打ちを警戒し、野村選手の体から遠いフォア側のストレートや弾く攻撃を封じるバック側を狙い続けます。成本選手はコース取りと裏面の変化で得点を重ね、第3ゲームを11-9で取ります。結果、ゲームカウント3-0で勝利となりました。

圧巻の内容で勝利した成本選手でした。相手の出だしを崩すサービスのコース取り、相手のカウンターを防ぐ打つコース取りがとても冴えていて、野村選手に攻撃の隙を与えさせない試合になりました。

第4マッチ:アドリアーナ ディアス vs 出澤 杏佳

ディアス選手は右シェークドライブ型、出澤選手は右シェーク粒高攻守型です。

今回の試合が初めての対戦になります。相手は表面に表ソフト、裏面に粒高を貼った出澤選手です。ディアス選手は、これまでのTリーグの試合で異質の選手にかなり苦戦してきました。今回の相手は珍しい戦型の選手で、どのような対策を練るかが勝負どころになります。

第1ゲーム 出澤選手の速攻と変化に苦戦

序盤から出澤選手の攻撃に苦しみます。出澤選手のフォアでの速攻とバックでの変化やプッシュに苦戦し、ディアス選手が得意なパワーのある攻撃につなげられません。出澤選手に裏面でラリーされ、少し浮いた球をフォアでスマッシュされる展開が多くなり、ディアス選手は防戦一方となってしまいます。ラリーで反撃することができず第1ゲームは2-11で落とします。

第2ゲーム 終盤まで接戦に

ディアス選手は第1ゲームでのミスを修正し、第2ゲームでミート打ちやループドライブを使います。出澤選手に速攻で決められてしまう場面もありますが、自身のサービスからの展開やタイミングをずらすループドライブで得点を重ね、9-9に追いつきます。

9-9の接戦になり、サービス権は出澤選手になります。出澤選手のサービス1本目では、ディアス選手がループドライブとミート打ちを使い分け長いラリーに持ち込みます。しかし決めにいったボールがオーバーしてしまい10-9でゲームポイントを握られます。サービス2本目では、ディアス選手のサービスレシーブがしっかり入ったものの、油断はできません。ラリーでの我慢比べで、如何にミスをせず粘れるかどうかが明暗を分けます。しかし、ディアス選手はラリーの中で出澤選手の変化にかかり、ネットミスを出してしまいます。ディアス選手は第2ゲームを9-11で落とします。

第3ゲーム 出澤選手の流れが続く

ディアス選手は2ゲームを落とし、かなり苦しい状況が続きます。出澤選手に変化をつけられたレシーブだけでなく、前後左右にラリーで揺さぶられ、打開策が見つからない様子です。ディアス選手は1度タイムアウトを挟み、流れを変えようとしますが、出澤選手の勢いは止まりません。最後の最後まで押される展開になり、10連続得点を許してしまいました。試合の流れが出澤選手の方に傾いてしまい、ディアス選手は第3ゲームを3-11で落とします。結果、ゲームカウント0-3で敗戦となりました。

世界で探してもなかなかいない、粒高攻守型という戦型に、ディアス選手は終始苦しみました。今回は敗れたものの、ディアス選手は必ずこの試合を糧にするはずです。

2023年12月25日、京都カグヤライズ vs 九州アスティーダは九州アスティーダに軍配が上がる!

京都カグヤライズのホーム戦、残念ながら2連勝とはなりませんでした。今試合では成本選手が第3マッチで勝利したものの、他の試合では1セットも取れず敗戦するという悔しい内容になりました。

京都カグヤライズにとっては、今回が年内最後の試合となりました。次の試合は年明けの木下アビエル神奈川戦になります。今日の試合の敗戦を振り返りしつつも、新年1試合目に勝利を飾れるように切り替えていきたいと思います。

いばらきフューチャープラザ
ライタープロフィール

記事を書いた人

清水 大暉

京都カグヤライズインターン生。 
中1から卓球を始める。高3で区切りをつけようとしたが、コロナウイルスの影響で学生生活最後の大会が中止に。そこで悔いが残り、卓球の道に進もうと決意。今では趣味で卓球を続け、国際試合や海外リーグの試合をよく観ている。
好きな選手は丹羽選手・酒井選手・モーレゴード選手・ティモボル選手などなど。