京都カグヤライズ vs 日本生命レッドエルフ 代々木第2体育館 ノジマTリーグ 2023-2024

京都カグヤライズ 2023-2024シーズン 4戦目の相手は、2度目の対戦となる日本生命レッドエルフです。前回の対戦では、0-4の悔しい敗戦でした。今試合では1つでも多く勝利し、いい形で8月を締めくくりたいです。

2023年8月30日 ベンチ入りメンバー

  • 成本 綾海 選手
  • 出雲 美空 選手
  • アドリアーナ ディアス 選手
  • 工藤 夢 選手

左利きが2人、右利きが2人なので、ダブルスでは立ち回りの有利な右左のペアが見られるかもしれません。

▼用語紹介
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第1マッチ:成本 綾海・工藤 夢 vs 麻生 麗名・ソン イジェン

成本選手は左シェーク異質攻撃型、工藤選手は右シェークドライブ型。麻生選手は右シェークドライブ型、ソン選手は左シェークドライブ型です。

カグヤライズダブルスは、成本選手と工藤選手のペアという初ペアが起用されました。スタッフもこのペアを見るのは初めてで、どんなプレーをするのか非常に楽しみな一戦です。

両ペア共に右左ペアのため、立ち回りがスムーズになりラリー戦が多くなると予想されます。このラリー戦で得点を多く挙げたペアが試合を制することになりそうです。

第1ゲーム 安定した攻めを見せる

1球目から工藤選手が丁寧に繋ぎ、成本選手がカウンターで決めるいい形でスタートします。打ちミスにも助けられつつ、工藤選手の安定したバックハンドと成本選手のバックの変化で得点を重ねていきます。最後に決めた1本では工藤選手がうまくネット処理をした後、的確なコース取りでラリー戦を制し、カグヤライズペアが11-7で第1ゲームを先取します。

第2ゲーム 互角のラリー戦

両ペア共に、第1ゲーム終盤で見せていた、相手にとって取りづらいコースを狙った攻撃的なラリーが増えていきます。このラリー展開に持ち込むには台上技術がカギになります。そこで成本選手がキレのいいツッツキとバックのフリックを使って相手ペアの先手を取るレシーブを封じます。そこから互角の勝負が続き、先に日本生命ペアにゲームポイントを握られてしまいますが、カグヤライズペアは冷静な攻撃で追いつき、10-10になります。この大事な一本は工藤選手がソン選手のバック側へ繋ぎ、成本選手が麻生選手のミドルを攻めて決めました。結果、第2ゲームは11-10となり、ゲームカウント2-0で勝利しました。

初ペアながらコンビネーションが良く、カグヤライズは今シーズンダブルス初勝利を獲得しました。成本選手と工藤選手のペアは、相手の打ちづらいコースを狙った攻撃が冴えており、今後もまた見たいと思わせてくれる試合内容でした。

第2マッチ:成本 綾海 vs 早田 ひな

第1マッチに引き続き、第2マッチも成本選手が出場します。成本選手は左シェーク異質攻撃型、早田選手は左シェークドライブ型です。

早田選手は、先日あった国際大会でもコンディションが良く、その状態で今試合に出場してきました。成本選手は、早田選手に対してどのような戦術をとるのでしょうか。

第1ゲーム ラリー戦での攻防

序盤から早田選手は両ハンドを打ち込んできます。この早田選手の両ハンドドライブを成本選手はバックで上手く返球し、ラリー戦に持ち込みます。成本選手は速いテンポで早田選手を左右に揺さぶり、チャンスが来たところで攻めていく展開をプレーに混ぜていきますが、早田選手のミスの少ないプレーに押され、第1ゲームを5-11で落とします。

第2ゲーム 早田選手の対応能力の高さ

第2ゲームでは早田選手の勢いが止まりません。成本選手が変化をつけて早田選手のミスを誘いますが、早田選手は難なく打ち込んできます。0-3の場面で、成本選手が逆をついたフォア側へのロングサービスを出すも、早田選手は体勢を崩しながら返球し、後陣からの両ハンドドライブで逆襲します。このプレーをベンチから見ていたディアス選手も苦笑いしていました。その後も早田選手の猛攻は止まらず、成本選手はサービスを変えるなど工夫しますが、第2ゲームは2-11で落とす形になります。

第3ゲーム 一本一本に食らいついていく

成本選手はフォアハンドではカウンター、バックハンドでは変化をつけて返球します。両選手、台上で払う技術のフリック、回転をかけてラリーに持ち込むチキータの攻撃的な台上プレーが多々見られますが、どちらのプレーも早田選手の得点に繋がり、成本選手は苦しい展開になります。成本選手は大幅なリードをとられても前陣での速い攻撃で追いつこうとします。しかし最後は横上回転サービスに対してレシーブをオーバーしてしまい4-11になりました。結果、ゲームカウント0-3で敗戦となりました。

ダブルスで勝利した勢いのまま第2マッチに挑んだ成本選手でしたが、早田選手の威力のあるボールに押され、勝利とはなりませんでした。いくつもの激しいラリー戦があり、お客さんたちの拍手が最後まで鳴り響いた試合となりました。

第3マッチ:出雲 美空 vs 森 さくら

8月15日から2度目の対戦となりました。出雲選手は左シェーク異質攻撃型、森選手は右シェークドライブ型です。前回の対戦では出雲選手が0-3で敗れていますが、前回の対戦では出雲選手が0-3で敗れているので、リベンジを果たせるかどうかに注目です。

第1ゲーム フォアハンドスマッシュが炸裂

前回の試合で、出雲選手はバックの変化形表を主軸に変化で攻めていました。しかし今試合では第1ゲームからフォアのスマッシュやバックの変化形表のプッシュで積極的に攻めて得点を重ねます。森選手も負けじと特長であるパワードライブを打ち込んできますが、出雲選手は打点の速いスマッシュで、森選手のプレーを上回り、第1ゲームを11-9で先取します。

第2ゲーム 両選手、さらに攻撃的に

出雲選手は第1ゲームと同じように攻めていき、対する森選手もエンジンがかかってきます。森選手は出雲選手のナックルボールに対応しはじめ、さらにパワードライブを打ち込み攻撃の手を緩めません。出雲選手としては、森選手にパワードライブを万全の体制で打たせないことが勝利に繋がると考えられるので、打点の速い攻撃や左右に揺さぶりをかけ、森選手の攻撃を封じます。森選手にリードを取られながらも8-9に追いつきますが、2本を森選手に粘られます。結果、第2ゲームは8-11で落とします。

第3ゲーム 戦術転換をする出雲選手

森選手は出雲選手のナックルボールに対して、打点の一番高いところから打ち込み、台に突き刺さるようなボールを放ちます。ゆるいボールの変化で点数が取れなくなってきた出雲選手は、コースを突いて得点する展開にシフトします。出雲選手は、このコースを突くストレート攻撃を多用して点数を重ねながら追いつき10-10に。この大事な一本で出雲選手がサービスを持ち、ロングサービスで奇襲をかけます。3球目でネットインをし、流れが変わると思われましたが、森選手の強烈な2連打で得点され10-11になりました。第3ゲームは惜しくも10-11で落とします。

第4ゲーム ラリー戦で粘る

第3ゲームの接戦をものにした森選手に流れが傾きます。森選手はミスの少ないプレーや左右に揺さぶるプレーで点数を重ね、点差が開きます。出雲選手は変化とスマッシュで点が取れず苦しみますが、バックの変化形表で森選手のタイミングをずらすレシーブをして追いつこうとします。ですが少しの焦りからかミスも出てしまい、第3ゲームは7-11で落とします。結果、ゲームカウント1-3で敗戦となりました。

2度目の対戦も森選手が勝利する結果になりました。ただ前回の試合と比べ、出雲選手は大幅に攻撃的な戦術に変えて善戦し、1ゲームを奪う大健闘を見せてくれました。

第4マッチ:アドリアーナ ディアス vs 笹尾 明日香

カグヤライズに後がない状況で、ディアス選手の登場です。ディアス選手は右シェークドライブ型、笹尾選手は左シェーク異質攻撃型です。国際大会で何度か対戦したことがある選手同士、ラリー戦が重要になってきそうです。

第1ゲーム 先手を取り攻撃を仕掛ける

Tリーグには、「マッチインタイムレギュレーション」という独自のルールがあります。これは、各マッチに出場する選手は試合前に審判員が卓球台の上に設置したタイマーのタイムカウントが「0:00」になるまでに、卓球台の主審側サイドエンド上にラケットを置くか、主審にラケットを渡さなければならないというものです。

ディアス選手はTリーグ出場が今試合で2戦目、Tリーグ独自のルールを把握しきれていなかったようです。

このマッチインタイムレギュレーションが適用され、0-1から始まります。ディアス選手は巻き込みサービスから得意のミート打ちを決めて相手にプレッシャーをかけていきます。しかし笹尾選手はサービスからの展開で得点を重ね、レシーブでも先手を取り大幅なリードを広げます。ディアス選手は笹尾選手の威力のあるフォアハンドに押され、第1ゲームを3-11で落とします。

第2ゲーム サービスの長さが得点のカギを握る

ディアス選手は持ち味のパワーを活かした豪快なフォアハンドで得点したいところです。試合が進み中盤まで1-7と苦戦を強いられますが、落ち着いた攻撃で5-7まで追いつきます。ディアス選手がじわじわ追い上げた時点で、レッドエルフはタイムアウトを取ります。

タイムアウト明けでは接戦になり、9-9になりました。大事なこの場面、サービスは笹尾選手に渡り、一本はキレた下回転ロングサービス、もう一本はナックル系のハーフロングで得点され、ディアス選手は惜しくも9-11で第2ゲームを落とします。

第3ゲーム 相手の思うようにプレーさせない

ディアス選手は表情を変えることなく第3ゲームがスタートします。笹尾選手の強打を距離を取って一本止めると、そこから流れが変わっていきます。ディアス選手は自分らしいプレーを徐々に出しながらも笹尾選手にいい形で攻撃をさせない、短期決戦に持ち込ませないラリー戦にして、笹尾選手の打ちミスを待ちます。この展開で笹尾選手の打ちミスが増え、得点はディアス選手に入り、第3ゲームを11-6で取り返します。

第4ゲーム 緩急をつけたラリー

ディアス選手のサービスから始まります。まずはストップの応酬、さらに対バックラリー戦となり、笹尾選手を駆け引きで上回ります。第3ゲーム同様、ディアス選手は緩いボールを使ってラリー戦でのミスを誘いました。笹尾選手に、ディアス選手の回転があまりかかっていないふわっとしたナックルドライブが効いている様子です。ディアス選手は4点リードを維持しながら、勢いのまま11-5で第4ゲームを取り、ファイナルゲームへ持ち込みます。

ファイナルゲーム 息をのむ接戦に

6-6から始まるファイナルゲーム。やはりここでもディアス選手は緩いボールを使い、笹尾選手のレシーブが単調になったところを強打で狙う展開をつくります。笹尾選手も負けじとロングサービスからの三球目攻撃で決めにきます。両選手、この土壇場でのプレッシャーもありスマッシュの角度が合わず打ちミスが生じてしまう場面も出てきました。9-9になりサービスをディアス選手が握ります。2本ともサービスの回転は違いますが、最後に得意のミート打ちに持っていく展開がはまり11-9。結果、ゲームカウント3-2で勝利しました。

大接戦となった第4マッチで、ディアス選手は初勝利を手にしました。前半は自身の得意なミート打ちの展開がつくれず、苦しんでいた様子でしたが、レシーブを工夫することで相手をペースに乗らせない、最終的には自分の得意な展開に持ち込むという、まさにトップ選手ならではの思考で、勝利を掴んだ一戦となりました。

ビクトリーマッチ : アドリアーナ ディアス vs 早田 ひな

京都カグヤライズ、今シーズン初のVMマッチとなりました。今回のVMマッチにはディアス選手が起用され、ディアス選手にとっても初のビクトリーマッチ出場です。

ディアス選手は右シェークドライブ型、早田選手は左シェークドライブ型です。世界トップ選手同士の対決が実現しました。1ゲームのみなので、どちらが勝利するか最後の最後までわかりません。

VMマッチ 激しい打撃戦

ディアス選手は、第4マッチでは見せなかったチキータをサーブレシーブで見せ、先手を取ります。序盤から積極的に攻めないと勝てないという雰囲気が伝わります。ゲーム中盤では2連続ミート気味のカウンターが炸裂し、いい流れで5-2とリードします。両選手共にパワフルな両ハンドを持っているため、力強い攻撃やロングサービスからの3球目攻撃などを駆使し、少ない球数で一点一点を決めていきます。この3球目攻撃は、サービスレシーブで相手に得点を狙われる可能性もあるリスクを負った攻撃で、高い技術力と反撃を恐れない強い精神力が必要です。高レベルなゲーム展開で、早くも7-7になりました。

そこからディアス選手は威力のあるボールを打ちますが、早田選手に距離を取って対応され7-9なります。その後、早田選手に自身のサービスで2点取られ、最終的には7-11でした。結果、ゲームカウント0-1で敗戦となりました。

接戦となる熱い試合でしたが、あと一歩勝利に手が届きませんでした。世界トップ選手同士のボールのスピード、カウンターの精度、大きなラリー戦は会場を盛り上げ、観客の方々に卓球の面白さを伝えていました。

2023年8月30日、京都カグヤライズ vs 日本生命レッドエルフは日本生命レッドエルフに軍配が上がる!

カグヤライズにとっての2023-2024シーズンにおける4戦目で、初の勝ち点1を手にしました。試合には敗れたものの、ダブルスの初勝利とディアス選手の勝利がチームにとって大きな収穫でした。またシングルスの出雲選手と成本選手も大奮闘を見せてくれました。試合を重ねるごとに確実にチームワークも良くなっています。この流れで、次の試合こそは勝利を掴みたいです。

▼次戦記事
京都カグヤライズ vs 木下アビエル神奈川 カルッツかわさき ノジマTリーグ 2023-2024

ライタープロフィール

記事を書いた人

清水 大暉

京都カグヤライズインターン生。 
中1から卓球を始める。高3で区切りをつけようとしたが、コロナウイルスの影響で学生生活最後の大会が中止に。そこで悔いが残り、卓球の道に進もうと決意。今では趣味で卓球を続け、国際試合や海外リーグの試合をよく観ている。
好きな選手は丹羽選手・酒井選手・モーレゴード選手・ティモボル選手などなど。