京都カグヤライズ vs 木下アビエル神奈川 イオンレイクタウン ノジマTリーグ 2023-2024

京都カグヤライズ 2023-2024シーズン 3戦目の相手は、2022-2023シーズン王者の木下アビエル神奈川です。木下アビエル神奈川は、国際大会で結果を残すメンバーを常にそろえているとても勢いのあるチームです。ここで勝利できれば、チームにグッと勢いが増します。

2023年8月19日 ベンチ入りメンバー

  • 成本 綾海 選手
  • アドリアーナ ディアス 選手
  • 枝廣 愛 選手
  • 工藤 夢 選手

今試合では、チームへの加入発表があってから、SNSなどで待望の声が散見された選手がベンチ入りしました!プエルトリコ出身のアドリアーナ ディアス選手です。最新の世界ランキングは13位、最高世界ランキングは9位の世界トップ選手がカグヤライズの一員となりました。強烈なミート打ちとトリッキーなプレーが特長のディアス選手に観客の注目が集まります。

▼用語紹介
初心者大歓迎!卓球プチ講座 ~よく聞く言葉・用語編~

第1マッチ:枝廣 愛・工藤 夢 vs 木原 美悠・長﨑 美柚

枝廣選手と工藤選手は右シェークドライブ型です。木原選手は右シェーク異質攻撃型、長﨑選手は左シェークドライブ型です。

カグヤライズダブルスは、前回に続き枝廣選手と工藤選手の中央大学ペアが起用されました。対するアビエルペアは木原選手と長﨑選手のWみゆうペアです。

立ち回りとペアリングではアビエルペアが一枚上手です。格上のアビエルペアに対して、カグヤライズペアはどのような戦術で攻めるのかが、流れを大きく左右します。

第1ゲーム アビエルペアの猛攻

木原選手のサービスから始まり、アビエルペアは積極的に打ち込んできます。カグヤライズペアとしては、アビエルペアの三球目攻撃や五球目攻撃などを封じ、打点の速いラリー展開に持っていきたいところです。試合が進む中で、カグヤライズペアは木原選手と長﨑選手の威力のあるボールに押され、サービスレシーブではチキータやフリックでアビエルペアに先手を取られてしまいます。思うようなプレーができず、第1ゲームは5-11で落とします。

第2ゲーム 両ペア、持ち味を発揮する

第2ゲームではカグヤライズペアの強味が徐々に出てきます。横回転系のサービスにフリックで先手を取りミスを誘うプレーや、相手の打点を落としたドライブをカウンターするプレーで点数を重ねます。一方のアビエルペアも速い攻撃展開で得点し、あっという間に10-10になります。カグヤライズペアにとっては反撃につながるゲームポイント、アビエルペアにとっては勝敗を決めるマッチポイント。この大事な一本は長﨑選手のチキータで取られ、第2ゲームは10-11となりました。結果、ゲームカウント0-2で敗戦となりました。

第2ゲームでは接戦となり見ごたえのある試合でした。枝廣選手と工藤選手は、格上ペアと対戦になっても個々の良さを発揮できれば勝利できる可能性があることを、プレーで見せてくれました。

第2マッチ:枝廣 愛 vs 平野 美宇

第1マッチに引き続き、第2マッチも枝廣選手が出場します。相手は、勢いに乗っている平野選手です。枝廣選手と平野選手の右シェークドライブ型対決になりました。

速いピッチでのラリー戦を制するかどうかが、勝負の分かれ道になります。

第1ゲーム 白熱するラリー

両選手ともにバックハンドが巧く、序盤からバック対バックのラリーになっていきます。このラリーは互角と言っていいほど白熱し、両選手にとって第1ゲームの得点源となります。ラリー戦が続くと、平野選手は枝廣選手のフォア側を攻めるようになり、枝廣選手は失点が続き4点を奪われます。そこから平野選手に戦術転換をされ、枝廣選手は第1ゲームを7-11で落とします。

第2ゲーム お互い一歩も引かない

第2ゲームでも対バックラリーを中心にゲームが進みます。両選手、巻き込みサービスからバックラリーの展開にもっていく形で試合が進み、点数が離れないまま8-8になります。その後、平野選手のサービスから始まったバックラリーを枝廣選手が制し、10-8に。最後は緩急を使い、見事にゲームポイントを獲得!第2ゲームを取り返します。

第3ゲーム ストレート攻撃が炸裂

両選手、バックハンドが巧いだけに対バックラリーではなかなか崩れません。枝廣選手はこの第3ゲームでストレート攻撃を増やしていき、これが得点に繋がります。良い流れで進んでいましたが、終盤のストレート攻撃を平野選手に対応され、枝廣選手は惜しくも8-11で第3ゲームを落とします。

第4ゲーム 冷静な枝廣選手

この時点でゲームカウント1-2と、後がなくなった枝廣選手ですが、追い詰められても諦めない積極的なプレーが点数に現れていきます。出だしから力強いフォアハンド振り、サービスレシーブでは逆チキータや冷静なストップで点差をつけ、流れは枝廣選手に。このいい流れのまま、枝廣選手が第4ゲームを11-5で取り、勝負の行方はファイナルゲームへと続きます。

ファイナルゲーム 勝負の駆け引き

Tリーグでは6-6から始まるファイナルゲーム。枝廣選手のサービスから始まり、平野選手の特長でもある高速両ハンドとカウンターで2点取られてしまいます。平野選手のサービスに変わり、またも高速ラリーとなりました。一本は枝廣選手が取りましたが、もう一本は惜しくも平野選手に取られ、マッチポイントを握られてしまいます。枝廣選手はここから挽回!というところで、まさかの平野選手のネットイン。7-11でファイナルゲームを落とし、ゲームカウント2-3で敗戦となりました。

フルゲームに持つれ込む大激戦となりました。枝廣選手にとっては、Tリーグのシングルスで初めて挑むファイナルゲームだったので、少し戸惑いもあったかもしれません。惜しくも負けはしましたが、この経験はチームにとっても貴重な糧になったと思います。

第3マッチ:アドリアーナ ディアス vs 張本 美和

今試合で、ひときわ注目が集まるオーダーです!Tリーグ初参戦のディアス選手と、今勢いに乗っている張本選手がぶつかります。両選手ともに右シェークドライブ型で、いったいどんなプレーが繰り広げられるのか、スタッフも目が離せません。

第1ゲーム 様子を見ながらプレーする

初対戦となる両選手、様子を見ながら試合を進めていきます。思いきり攻めることもなく、台上ではツッツキを多用し、お互いに出方を探りつつていねいに試合が展開されます。その空気のままゲームが進み、点数は9-9になります。この勝負どころで、ディアス選手はサービスを順横回転サービスからフォアのしゃがみ込みサービスに変更します。対する張本選手はディアス選手の逆をついたフォア側にレシーブをし、ゲームポイントを握ります。ディアス選手はもう一本のサービスをフォア前に出しますが、張本選手にチキータで得点されてしまいます。9-11で、第1ゲームを落としました。

第2ゲーム 戦術をどう取るか

お互いのプレーを理解した上で、両選手はギアを一段階上げていきます。ディアス選手はパワー、張本選手は打点の速さで勝負を仕掛けていきます。張本選手はディアス選手にパワーボールを打たせないよう、台上での長短を巧く使い分け攻撃を封じます。ディアス選手はなかなか流れに乗れず、思わず首を傾げる姿を見せました。挽回できぬまま、第2ゲームを3-11で落とします。

第3ゲーム ディアス選手らしいプレーの連続

第3ゲームに至り、やっとディアス選手らしいプレーが見えはじめます。ゲーム序盤で見せた、カットしてからのカウンターブロックや後陣でのフィニッシュなど、観客を沸かせるプレーで盛り上げ、勢いをつけます。しかし、試合のペースはなかなかディアス選手に傾いてくれません。張本選手が安定したドライブで攻め、ついにマッチポイントを握ります。最後はディアス選手のドライブのタイミングが合わずネットオーバーし、第3ゲームは7-11で落とします。ゲームカウント0-3で敗戦となりました。

ディアス選手はTリーグ初参戦ということもあり、会場の雰囲気などいろいろな要素に慣れていない様子でした。まだまだ本調子は出ないものの、ダイナミックなプレーやガッツポーズで観客を魅了していました。

第4マッチ:成本 綾海 vs 長﨑 美柚

この第4マッチで、キャプテンの成本選手が登場です。

成本選手は左シェーク異質攻撃型、長﨑選手は左シェークドライブ型です。左利き同士の対決で、両選手がどのコースにボールを集めていくのかに注目したいと思います。

第1ゲーム ナックル性のボールを中心に

序盤から、成本選手はサービスエースを取り流れをつけていきます。またバックの変化表でナックル性のボールを送り、長﨑選手のミスを誘うプレーで得点を重ねます。中盤までは成本選手の流れでしたが、試合が進むにつれ長﨑選手がナックルボールに対応しはじめます。第1ゲームでは接戦の末に追いつかれ、成本選手が9-11で落とします。

第2ゲーム 変化の幅を出せるよう工夫する

第1ゲームと同様に、成本選手が5-0といい出だしを切ります。サービスエース2本に加え、ラリーで変化をつけて得点し流れを引き寄せます。ただ変化をつけてラリーにするのではなく、コースを狙いながらラリー戦にしたり、長﨑選手を動かして体制を崩したところを変化で仕留めるなど、戦略を利かせた展開が多く見られました。この展開がうまくはまり、第2ゲームを11-6で取り返します。

第3ゲーム 成本選手の技術が光る

両選手が1ゲームずつ取って迎えた第3ゲームでは、お互いに一歩も譲らず接戦を演じます。このゲームではバックラリーが多くなり、得点が成本選手の方に入るパターンが多く見られました。成本選手が繰り出す、バックの変化形表を巧く使って止めるブロックのような技術では、微妙な回転量の変化で長﨑選手がオーバーする展開が多く見られました。そこから成本選手は流れに乗り、ラリー戦を制して11-6。第2ゲームに続き第3ゲームを連取します。

第4ゲーム 成本選手の流れに

第4ゲームでは成本選手の強味が全面に出ました。対バックラリーでは、長短をつけて長﨑選手の強烈なバックハンドを封じ、ナックルでも、押すボールと引くボールを使い分け変化をつけます。さらに、要所でサービスエースを取り、相手に逆を突かれてもフットワークを活かした飛びつきで得点するなど、まさに成本選手の思いどおりというような展開で試合が進みました。成本選手は勢いにのったまま11-6で第4ゲームを取り、結果、ゲームカウント3-1で勝利しました。

成本選手はこの試合で今シーズンの初勝利を手にしました。途中では相手と競ったものの、プレー内容は全体的に成本選手らしさが光っており、相手を圧倒していたように感じました。この試合をきっかけに、どんどんチームに勝利をもたらしてほしいです!

2023年8月19日、京都カグヤライズ vs 木下アビエル神奈川は木下アビエル神奈川に軍配が上がる!

カグヤライズは開幕から3連敗となりましたが、今回は前回までと変わって、ストレート負けからは逃れました。今回の試合はショッピングモールを会場に開催され、照明の位置や観客席の近さなど、普段の会場にはない新鮮な要素がたくさんありました。なかには「会場の広さがプレーに影響する」と話す選手もおり、不慣れな分やりづらい面もあったかと思います。ただ、今までにないほどファンの皆さまを近くに感じられ、チームとファンの皆さまで一緒に戦っているという雰囲気がありました。

ディアス選手が合流し、練習パートナーとして中央大学の学生さんたちも参加しており、雰囲気がさらに明るくなったと感じました。このいい雰囲気のまま、チーム全員で一体となって、次の試合に臨みます。

▼次戦記事
京都カグヤライズ vs 日本生命レッドエルフ 代々木第2体育館 ノジマTリーグ 2023-2024

ライタープロフィール

記事を書いた人

清水 大暉

京都カグヤライズインターン生。 
中1から卓球を始める。高3で区切りをつけようとしたが、コロナウイルスの影響で学生生活最後の大会が中止に。そこで悔いが残り、卓球の道に進もうと決意。今では趣味で卓球を続け、国際試合や海外リーグの試合をよく観ている。
好きな選手は丹羽選手・酒井選手・モーレゴード選手・ティモボル選手などなど。