京都カグヤライズ vs 日本生命レッドエルフ KBSホール ノジマTリーグ 2023-2024

この日は今シーズン初の京都でのホーム戦です!会場には、小学生くらいのお子さまから年配の方まで幅広い層のお客さまに足を運んでいただきました。皆さまが試合の開始をまだかまだかと楽しみにしてくださる熱気で、公式練習の前から会場全体が温まっていました。

京都カグヤライズ 2023-2024シーズン 8戦目の相手は、3度目の対戦となる日本生命レッドエルフです。前回の対戦では、ビクトリーマッチまでもつれ込む大激戦となり、惜しくも2-3で敗れました。京都開催ということで応援に駆けつけてくれたスポンサーの方々や観客の皆さんに勝利する姿をお見せしたいです。

2023年11月16日 ベンチ入りメンバー

  • 松島 美空 選手
  • 成本 綾海 選手
  • アドリアーナ ディアス 選手
  • 田村 美佳 選手
  • 木塚 陽菜 選手
  • 工藤 夢 選手

カグヤライズのベンチには6名の選手が入りました。4試合ぶりにディアス選手、7試合ぶりに田村選手が合流し、新鮮な顔ぶれのメンバーとなりました。

▼用語紹介
初心者大歓迎!卓球プチ講座 ~よく聞く言葉・用語編~

第1マッチ:成本 綾海・工藤 夢 vs 早田 ひな・赤江 夏星

成本選手は左シェーク異質攻撃型、工藤選手は右シェークドライブ型。赤江選手は右シェークドライブ型、早田選手は左シェークドライブ型です。

カグヤライズペアは、成本選手と工藤選手の組み合わせが起用されました。このペアは前回の対戦でレッドエルフペアに勝利しています。このペアで2連勝を狙います。

レッドエルフぺアは早田選手と赤江選手の両ハンドに威力があるペアを起用してきました。カグヤライズペアとしては、レッドエルフペアに強打をさせない展開や厳しいコース取りで得点を重ねたいです。

第1ゲーム お互いのサービスレシーブが重要に

両ペアは序盤から激しいラリー展開を見せ、試合が白熱していきます。カグヤライズペアはサービスレシーブでの厳しいコース取りや4球目のカウンターで得点を重ね、先制します。しかし、工藤選手は早田選手のサービスに苦戦し、台から出た2球目を赤江選手に三球目攻撃で狙われてしまいます。カグヤライズペアは粘りを見せますが、最後もサービスレシーブで苦戦し、第1ゲームを9-11で落とします。

第2ゲーム レッドエルフペアの三球目攻撃に押される

第1ゲームの流れが続き、カグヤライズペアは得点を重ねられない状況が続きます。レッドエルフペアの上回転系のサービスに対して、カグヤライズペアはフリックを仕掛けますが、このフリックをレッドエルフペアに三球目攻撃で狙われてしまいます。下回転系のサービスではツッツキから先手を取られ、打球のタイミングが合わずミスが増える展開になりました。試合が進むにつれて思うようなプレーができず、第2ゲームを5-11で落とします。結果、ゲームカウント0-2で敗戦となりました。

早田選手・赤江選手という強打が特徴のペアを相手に、勝利を手にすることは残念ながら叶いませんでした。ダブルスでは特にサービスレシーブが重要になってくるため、このサービスレシーブで優位に立ったレッドエルフペアに流れが傾き、悔しい敗戦になりました。

第2マッチ:アドリアーナ ディアス vs 早田 ひな

ディアス選手は右シェークドライブ型、早田選手は左シェークドライブ型です。

世界ランキング上位同士の、注目すべき対戦カードです!前回の対戦ではビクトリーマッチという1ゲームマッチのみの試合で戦い、早田選手が勝利を収めています。今対戦は5ゲームマッチなので、戦術を変えた攻撃的な展開が予想されます。

第1ゲーム ディアス選手がサービスの長短を工夫する

両選手はサービスからの展開を主軸に得点を重ねていきます。ディアス選手はロングサービスを多く混ぜながら、三球目攻撃でカウンターを狙います。一方の早田選手はショートサービスを多くし、時折ロングサービスも出して攻撃的な展開に持ち込んでいきます。終盤でディアス選手の攻撃が早田選手に対応され、ディアス選手はラリー戦で得点を挙げることが難しくなりました。結果、第1ゲームを7-11で落とします。

第2ゲーム 早田選手の強烈なバックハンドが炸裂!

第2ゲームから早田選手のギアが一段階上がってきます。ディアス選手は早田選手のバック側にボールを多く集めますが、バック側に来たボールを早田選手に狙われてしまう展開が増えてしまいます。早田選手の打点の速いカウンターバックドライブと打点を落としたループドライブでディアス選手は押され気味になり、大きく点差が離れ苦しい流れになりました。早田選手にゲームポイントを握られた後、ディアス選手は粘りましたが挽回することは叶わず、第2ゲームを5-11で落とします。

第3ゲーム ディアス選手が打球のコース取りを変える

序盤でディアス選手はストレート攻撃を使い分け4-0と良いスタートを切ります。ディアス選手は第2ゲームで早田選手のバック側にボールを多く集めていましたが、第3ゲームではフォア側とミドル側にボールを多く集め、コースを読もうとする早田選手を攪乱します。このコース取りでディアス選手はリードを維持し、最後はチキータをストレートに送って決めました。第3ゲームを11-7で取り返します。

第4ゲーム ディアス選手のコース取りの巧さがポイントに

第3ゲームを取り返し流れに乗りたいディアス選手を早田選手が阻みます。ディアス選手は第2ゲーム同様に、早田選手のバック側にボールを多く送ります。ディアス選手は早田選手のフォアハンドを警戒し、バック側にツッツキなどの繋ぎのボールを送りますが、バック側にきたボールを逆に狙われる展開が続きます。試合終盤にディアス選手は早田選手の球威に押され、自身の攻撃が入らず苦しむ展開になりました。結果、第4ゲームは7-11で落とし、ゲームカウント1-3で悔しい敗戦です。

ディアス選手・早田選手のTリーグでの2度目の対戦は、両選手にとって「どのコースを攻めて相手を崩すか」という戦術がとても重要な試合でした。世界トップ選手同士にふさわしい激戦となり、大きな盛り上がりを見せてくれました。

第3マッチ:松島 美空 vs ハン シキ

ここで今シーズン2度目の出場となる松島選手が登場です。松島選手は左シェークドライブ型、ハン選手は右シェークドライブ型です。

相手のハン選手は中国出身で、世界ランキングは20位と勢いのある選手です。松島選手はハン選手にどこまで食らいつけるか注目です。

第1ゲーム ハン選手の厳しいコース取り

松島選手は特長でもあるサービスでよい出だしを切ります。試合が進むにつれてラリー展開が増え、果敢に攻める場面も見られますが、なかなか得点に繋がりません。ハン選手は、2度は同じコースに打たず、バック側を攻めてからフォア側へ、フォア側を攻めてからミドル側へなどのさまざまなコース取りで攻めてきます。松島選手はハン選手のコース取りに翻弄され、第1ゲームを3-11で落とします。

第2ゲーム 苦しい展開が続く

松島選手はなかなか得点パターンを確立できず、苦しい流れのまま試合が進みます。これまでの展開を振り返ると、ラリー戦ではハン選手のミスが少なくなり、松島選手にとっては得点の難易度が上がります。松島選手は奇襲のロングサービスを出しますが、ハン選手に打点を落としながら回転をかけたレシーブで対応され、3球目でオーバーしてしまう展開も見られました。松島選手は流れを掴めず、第2ゲームを4-11で落とします。

第3ゲーム コース取りと回転量で押される

松島選手は、ラリー戦になるとあと1本が返せず苦戦します。さらにそこからの展開で、松島選手は第1ゲームからのハン選手の微妙にずれたコース取りに翻弄されてしまいます。ハン選手のサイドを切るコース取りも増え、松島選手にとっては攻めたくてもなかなか攻められない展開になりました。苦しい展開が続き、松島選手は表情を曇らせますが、それでもハン選手に果敢に立ち向かいます。しかし粘りを見せることはできず、第3ゲームは5-11で落としました。結果、ゲームカウント0-3で敗戦となりました。

地元・京都での松島選手の試合は悔しい敗戦に終わりました。しかし、世界上位で戦う中国籍選手との試合はなかなか経験できません。松島選手にとってもチームにとっても、大きく成長するための重要な機会であったことは確かです。

第4マッチ:成本 綾海 vs ソン メイヨウ

第4マッチで、いよいよキャプテン成本選手に出番が回ってきました。成本選手は左シェーク異質攻撃型、ソン選手は右シェーク異質攻撃型です。

両選手はバックに表ソフトを貼っていますが、成本選手は変化形表ソフト、ソン選手は弾きの強い表ソフトを使用しています。同じ表ソフトでも違う球質で戦う両選手のプレースタイルに注目です。

第1ゲーム 成本選手のバックハンドが効く

成本選手は出だしからさまざまなサービスを使い、どのようなサービスが効くのかを探りながらプレーします。成本選手が繰り出す、打点が早く回転のかかったフォアドライブとナックルが出るバックハンドの球質の差で、ソン選手は顔をしかめます。ソン選手のサービス展開で点数を重ねられる場面も多くありましたが、成本選手はフットワークを活かしてラリー戦をものにし、いい流れで第1ゲームを11-7で取ります。

第2ゲーム 両選手のプレーがさらに攻撃的に

成本選手は、第1ゲームで見せた順回転のサービスや巻き込みサービスに加え、しゃがみ込みサービスを出していきます。自身が得意とする多彩なサービスでソン選手を翻弄し、「相手にプレーを読ませない」という成本選手の強い意思が、応援席にも伝わってくるようです。対するソン選手は、成本選手の球質に少し慣れてきたのか、自身の色を見せはじめます。得意のバックハンドで成本選手を台から下げさせ、ソン選手にとって有利な展開に持ち込みます。

お互いに特長を活かしながらぶつかり合う第2ゲーム、接戦が続きます。どちらがこの戦いを制するかと張り詰める空気の中、最後までフォアハンドを振り切った成本選手がゲームポイントを決めました!第1ゲームに続き、第2ゲームを11-9で獲得します。

第3ゲーム 両選手が激しいラリー戦を繰り広げる

第1、第2ゲームを取り、このままいい流れで押し切りたい成本選手は手を緩めず攻め続け、2点連続で獲得します。その後、緩急の織り交ざる高速ラリーを制し、3点目を奪取!合計27回も続いたロングラリーに会場とベンチは大きく盛り上がりました。3連続で得点を挙げ、ソン選手にタイムアウトを取らせます。

成本選手はよい流れを切ることなく、好プレーを連続し攻撃の手を緩めることはありません。対するソン選手は、ここで成本選手のバック表ソフトに対応しはじめ、ラリー展開に持ち込んでいきます。終盤、ソン選手が成本選手の球質に対応しはじめたことで得点を重ねます。先にソン選手にゲームポイントを握られますが、成本選手も粘り10-10まで競る展開になりました。

第3マッチを決める1本勝負のサービス権はソン選手にあり、どのようなサービスを出すのかを会場全体が固唾を吞んで見守ります。この土壇場でソン選手は上回転系の速いロングサービスを出し、成本選手は予想外のサービスにレシーブミスをしてしまいます。結果、成本選手は第3ゲームを10-11で惜しくも落とします。

第4ゲーム 成本選手の大逆転劇

第3ゲームからソン選手は成本選手のバックの変化表の変化に対応しはじめたことにより、ギアが上がります。成本選手は、ソン選手のバックのミート打ちを脅威に思ったのか、フォアミドルやバックミドルを中心に狙います。ラリー戦では五分五分の勝負となり、成本選手は今までのようには得点を重ねられません。相手にリードを譲り、6-10でゲームポイントを握られてしまいます。

しかし、ここから成本選手の反撃が始まります。瀬戸際でのラリー戦を粘り勝ち、スコアは6-10から8-10へ。まずは4点差を2点差まで詰めます!

その後、成本選手はソン選手のサービスをバックハンドで受け、ソン選手のフォア側に攻め返します。このボールでソン選手のミスを誘い、9-10。対するソン選手はこれまで有効だったロングサービスを出しますが、弱気になったのかスピードの遅いロングサービスが飛んできました。成本選手はそれを見逃さずに狙い打ち、ついには10-10まで追いつきます。

この1本勝負で、サービス権は成本選手の手にあります。 カグヤライズは慎重にタイムアウトを取り、ベンチの和田コーチと共に作戦を練り直します。

タイムアウトが明け、成本選手が出したのはシンプルなナックルサービス。ソン選手は分かりづらい縦回転サービスでレシーブをミスし、最後の1点は成本選手のものとなります!

成本選手は怒涛の大逆転により、第4マッチを11-10で勝ち取りました。結果、ゲームカウント3-1で勝利しました!

激戦の中で決して諦めず、見事に勝利を掴んだ成本選手が、キャプテンの意地を見せてくれました。成本選手の得意とする多彩なサービスはもちろん、フォアハンドに勢いがあり、成本選手の魅力が詰まった試合でした。対戦相手のソン選手も好プレーを連続し、会場は大いに盛り上がりました。

2023年11月16日、京都カグヤライズ vs 日本生命レッドエルフは日本生命レッドエルフに軍配が上がる!

京都カグヤライズは今シーズン初の京都でのホーム戦を白星で飾ることができませんでした。平日にもかかわらず、多くのお客さまが会場に足を運んでくださり、温かい雰囲気で試合が行われました。翌日にもKBSホールでホーム戦2日目があります。今試合で温まった会場を強みにして、ホーム戦での初勝利を掴みにいきます。

(写真: T.LEAGUE/AFLO SPORT)

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京都カグヤライズ vs 日本ペイントマレッツ KBSホール ノジマTリーグ 2023-2024

ライタープロフィール

記事を書いた人

清水 大暉

京都カグヤライズインターン生。 
中1から卓球を始める。高3で区切りをつけようとしたが、コロナウイルスの影響で学生生活最後の大会が中止に。そこで悔いが残り、卓球の道に進もうと決意。今では趣味で卓球を続け、国際試合や海外リーグの試合をよく観ている。
好きな選手は丹羽選手・酒井選手・モーレゴード選手・ティモボル選手などなど。