京都カグヤライズ6戦目の相手は、約1ヵ月ぶりの再戦となった木下アビエル神奈川。9月24日の初対戦では、0-4での負けと非常に悔しい対戦となりました。今回の試合はマー ユーハン選手とユエン シュエジアオ選手を迎えてのリベンジ戦です!
2022年10月22日 ベンチ入りメンバー
- 松島 美空 選手
- ウェイ ウェンション 選手
- マー ユーハン 選手
- ユエン シュエジアオ 選手
今回は、松島 美空選手のデビュー戦。チーム発足時から最年少Tリーガーという注目を浴びてきた松島選手。オーダーが発表されてからはスタッフたちもそわそわが隠せませんでした。
……実は、このオーダーは卓球界全体のスケジュールを把握している人なら予想できたものです。Tリーグのルールでは、4人中1人は日本人選手の出場が求められます。今回は、Tリーグ以外の試合スケジュールの関係で、出場可能な日本人選手が松島 美空選手のみという状況です。「これは、ついに……!?」と想像していた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
Tリーグだけでなく、その他のスケジュールも常々チェックしておくと、オーダーや勝敗を予想する楽しみが膨らみます。
第1マッチ:ウェイ ウェンション・ユエン シュエジアオ vs 張本 美和・梅村 優香
ウェイ選手とユエン選手、張本選手は右シェークドライブ型。梅村選手は左シェーク異質攻撃型です。
カグヤライズペアは右右ペア、アビエルペアは右左ペアなので、アビエルペアの方が動きやすく、立ち周りが有利です。梅村選手がバック側に貼っている異質表に対し、初ペアのウェイ選手とユエン選手は変化に対してどう攻めていくのでしょうか?
第1ゲーム 安定感のあるプレーで徐々に攻める!
両ペア共に、今回の組み合わせは今季初です。序盤は様子を見ながら丁寧につないでいきます。中盤あたりから、アビエルペアがカグヤライズペアのバック側にボールを集め、重なり詰まったところを攻めていくという展開で得点していきます。追いつききれないまま、第1ゲームはアビエルペアに11-7で取られてしまいます。
第2ゲーム 追い上げを見せるも
後がなくなってしまったカグヤライズペアは、ユエン選手の攻撃を軸に攻めていきます。2点差をつけて突き放したいところでしたが、梅村選手の緩急やバック側の表ソフトの変化、張本選手の回転量のあるドライブに苦戦して3-5でリードされます。カグヤライズペアはタイムアウトを取り、競りながら10-10になるものの最後はネットインで崩れてしまい、10-11で敗れます。第1マッチは、ゲームカウント0-2で敗戦となりました。
今試合ではウェイ選手とユエン選手の新しいペアで臨んだ試合となりました。負けてはしまいましたが、今後のメインダブルスを決める重要な一戦になったと感じました。
第2マッチ:マー ユーハン vs 平野 美宇
マー選手は左シェークドライブ型に対し、平野選手は右シェークドライブ型です。正統派ドライブマン同士の対決となりました。
実績で見ると、オリンピックに出場し、メダルを獲得した経験もある平野選手が格上となります。マー選手はどのように攻めていくのか注目です。
第1ゲーム 平野選手のサービスの多彩さが光る
マー選手のサービスに対して、平野選手は積極的にチキータで狙いに行きます。マー選手が厳しいコースに打ちますが、素早い反応速度で平野選手に返球され、点差は開く一方。サービスレシーブでマー選手も狙っていきますが、想像以上に平野選手のサービスが分かりづらく、4-11で落としてしまいます。
第2ゲーム サービスレシーブに大苦戦するマー選手
第1ゲーム同様、平野選手の分かりづらいサービスに苦戦します。下回転系のサービスを返球するとネットにかかり、上回転系のサービスを返球すると平野選手のカウンターを食らうという展開で、ついには回転をかけずに入れるだけのレシーブになってしまいます。マー選手の得意な攻撃展開に持っていけず、5-11で落としてしまいます。
第3ゲーム 追い上げを見せるが
第3ゲームも厳しい展開が続きます。0-3と平野選手にリードされ、マー選手がタイムアウトを取りますが、流れを変えることができません。そしてついに0-6まで引き離されます。それでも負けじと平野選手のドライブをカウンターしにいくも、その後の一本も返球され、なかなか得点につなげられません。大幅な点差がつき、マッチポイントを握られてしまいます。マー選手はここから追い上げを見せますが、追いきれず5-11で第3ゲームを落とします。最終的に、ゲームカウント0-3で敗戦となりました。
世界のトップを走っている平野選手にマー選手が挑むという今試合でしたが、平野選手のサービスの回転量、レシーブのコースの上手さが顕著に見られた試合でした。悔しい敗戦となりましたが、立ち向かっていく強気のマー選手の姿がありました。
第3マッチ:ユエン シュエジアオ vs 長﨑 美柚
右シェークドライブ型のユエン選手に対して、左シェークドライブ型の長﨑選手。
この2人は、2018-2019シーズンで木下アビエル神奈川に所属していた元チームメイトです。ただ、4年も時が過ぎているので過去に比べてプレースタイルや戦術は変わっていると思われます。当時を知る人たちほど、面白い対戦になるのではないでしょうか。
第1ゲーム 細かいプレーが際立つ
サービスの長さ、コース、回転を工夫して、両者ともボールを出していきます。その中で、長﨑選手のサービスに対してユエン選手が深くツッツキをすると、長﨑選手のドライブにミスが出るというパターンが生まれ、不思議に思ったのか長﨑選手が少し首をかしげます。さらに、ユエン選手は出るか出ないかのギリギリのハーフロングのサービスを上手く使いながら、長﨑選手のチキータを封じます。流れをつかんだユエン選手が11-8で第1ゲームを奪いました。
第2ゲーム サービスを工夫し、攻撃の展開を変える
第1ゲームでは両者順横のサービスしか出していませんでしたが、第2ゲームに入り様子が変わります。ユエン選手は巻き込みサービスやバックサービス、長﨑選手は巻き込みサービスを使って試合を展開していきます。ユエン選手の前陣での速いラリーや緩いボールを使ったプレーに長﨑選手が追いつき、10-10へ。このタイミングで長﨑選手が鮮やかな3球目攻撃を決め、ポイントを獲得。第2ゲームは長﨑選手のものとなります。
第3ゲーム バックサービスで流れを作るユエン選手!
1ゲームずつ取って迎えた第3ゲームでは、第2ゲームよりもさらに速いラリー展開が増えます。打点の早いバックハンドを打つ長﨑選手と、コンパクトなスイングで連打するユエン選手。両者なかなか譲らない中、ユエン選手が勝負どころで長﨑選手のミドルをついてからフォアサイドに決めるという見事な戦術を駆使し、得点していきます。第3ゲームは11-7でユエン選手が取り返しました。
第4ゲーム 前陣での速いプレー
ここを取ればユエン選手の勝利が確定する第4ゲームでしたが、長﨑選手が一方的に攻める展開となります。今までは少し詰まった時に下がっていた長﨑選手でしたが、前陣に張りついてプレーするようになり、ユエン選手に攻撃をする時間を与えません。前陣でのプレーが上手くはまり、11-5で長﨑選手がゲームを取り返します。
ファイナルゲーム 勝負どころでの強さが光る!
Tリーグでは6-6から始まるファイナルゲーム。両者ともにレシーブで2本取り、8-8になります。ユエン選手のサービス2本で、1本は長﨑選手が取り、もう1本は粘ってユエン選手が取ります。9-9で長﨑選手がロングサービスを出すもユエン選手がしっかりドライブで返球し、10-9のマッチポイントを迎えます。最後はユエン選手のエッジボールで11-9となり、ゲームカウント3-2でカグヤライズが第3ゲームを獲得しました。
熱戦となった第3ゲーム、様々なコース取りやサービスからの組み立て方が随所に見られ、まさに世界レベルの試合と呼ぶに相応しい試合となりました。どの技術も非常にレベルが高く、見ごたえのある1試合でした。
第4マッチ:松島 美空 vs 張本 美和
左シェークドライブ型の松島選手に対して、右シェークドライブ型の張本選手。
若手同士の対戦であり、松島選手にとってはTリーグのデビュー戦です。近い将来、日本を背負って戦っていく選手同士の対戦は、卓球ファンにとっては非常に楽しみな試合だと思います。
第1ゲーム 食らいついていく松島選手!
背の高い張本選手に厳しいコースを攻められると、まだ背が伸びきっていない松島選手はどうしても届きません。しかし、ミドルにきたボールに対しては一本一本をしっかり返していきます。張本選手のボールに対して食らいついていきますが、第1ゲームは2-11で落とします。
第2ゲーム サービスの精度の高さ!
序盤では少し点差をつけられるも、徐々に松島選手のサービスが効き始めます。横上回転と横下回転をうまく使い分けながらサービスエースを取り、さらに張本選手のサービスに対して丁寧に返球し、ポイントを重ねて7-7に追いつきます。その後、一本取られた7-8のタイミングで松島コーチがタイムアウトを取ります。ここで流れをつかみ1ゲーム取りたいところでしたが、張本選手に4連続得点をされ、7-11で第2ゲームを落とします。
第3ゲーム ラリー戦でも立ち向かう
後がない松島選手は、それでも果敢に立ち向かっていきます。張本選手はドライブの展開に持ち込み、回転量の差を押し出し点を開いていきます。ラリー展開では松島選手が1点取る場面もありましたが、速いドライブでコースを打ち分けていった張本選手が11-5で第3ゲームを取り、ゲームカウント0-3での敗戦となりました。
Tリーグ最年少ながら堂々たるプレーを見せてくれた松島選手。特にサービスエースの本数が非常に高く、松島選手のサービスは世界レベルにも通用することが証明された1試合となりました。
2022年10月22日、京都カグヤライズ vs 木下アビエル神奈川は木下アビエル神奈川に軍配が上がる!
リベンジ戦となった今試合、どの試合も内容の濃い、高レベルなプレーの応酬で観客を沸かせていました。悔しくも敗戦となりましたが、まだまだ京都カグヤライズの挑戦は続きます!