京都カグヤライズ vs 木下アビエル神奈川 霧島市国分体育館 ノジマTリーグ 2023-2024

鹿児島県でのホームマッチの日になりました。九州地方でのホームマッチ開催は今シーズン初となります。

京都カグヤライズ 2023-2024シーズン 10戦目の相手は、3度目の対戦となる木下アビエル神奈川です。前回の対戦では、0-4の悔しい敗戦となりました。鹿児島県でのホームマッチが2連戦あるので、今試合で勝利し、チームに勢いをつけたいところです。

2023年12月9日 ベンチ入りメンバー

  • 牧野 里菜 選手
  • アドリアーナ ディアス 選手
  • 枝廣 愛 選手
  • 工藤 夢 選手

京都カグヤライズと木下アビエル神奈川は4名の選手でのベンチ入りとなりました。実業団での大会や混合ワールドカップの試合が重なっていることもあり、多くの選手が集まることは叶いませんでしたが、現地にいるメンバーで全力を出し、勝ちにいきます。

▼用語解説
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第1マッチ:枝廣 愛・工藤 夢 vs 長﨑 美柚・櫻井 花

カグヤライズペアは、枝廣選手と工藤選手の中央大学ペアが起用されました。以前に組んだ九州アスティーダ戦では、初勝利を挙げているペアです。コンビネーションを活かしたプレーで2勝目を狙います。

枝廣選手、工藤選手は右シェークドライブ型、長﨑選手は左シェークドライブ型、櫻井選手は右シェーク異質攻撃型です。

第1ゲーム カグヤライズペアの安定した攻撃

カグヤライズペアは無理をしない安定した攻撃で得点していきます。カグヤライズペアの特長でもある前中陣でのカウンターが冴え、中盤あたりから4点差でリードを広げます。また緩急を使い、アビエルペアの攻撃を封じて、いい流れで試合が進みました。第1ゲームはカグヤライズペアが11-3で先取します。

第2ゲーム アビエルペアの安定感が上がる

第1ゲームではカグヤライズペアが安定した攻撃で大差をつけてゲームを取りましたが、第2ゲームにきてアビエルペアの安定感が徐々に出てきます。長﨑選手の強烈なチキータが決まったのがきっかけでアビエルペアは勢いに乗り、櫻井選手の攻撃もコースをついて決まるようになります。カグヤライズペアは第1ゲームのようにカウンターで得点を狙いますが、アビエルペアの球が速く、なかなか思うような展開に繋ぐことができません。第2ゲームではリードを許し、カグヤライズペアは7-11で第2ゲームを落とします。

ファイナルゲーム 一進一退の攻防

Tリーグでは6-6から始まるファイナルゲーム。枝廣選手のサービスから2本連取し、いい流れを作ります。その後の長﨑選手のサービスではカグヤライズペアが1本取り9-7とリードします。しかし、そこから長﨑選手のバックドライブと緩急により2点差に縮まり、9-9の同点に追いつかれる展開になりました。先に長﨑選手のループドライブで得点されますが、カグヤライズペアはラリー戦で粘り勝ち、デュースに持ち込みます。

ここからは2本の点差をつけなければなりません。アビエルペアにラリー戦で取られると、カグヤライズペアもラリー戦で奪い、11-11のデュースに戻します。工藤選手のサービスになると、カグヤライズペアは残していたタイムアウトを使い、ベンチの池袋監督と作戦を練り直します。タイムアウト明けに工藤選手はロングサービスを出すと、櫻井選手からコンパクトに振ったドライブでミドルを狙われ、枝廣選手はミスをしてしまいます。ついにマッチポイントが相手に渡り、会場に緊張が走ります。カグヤライズぺアは粘りたいところでしたが、アビエルペアの連打を防ぎきれず11-13でファイナルゲームを落としました。結果、ゲームカウント1-2で敗戦となりました。

第1ゲームをいい展開で取り、流れを掴んだかのように思えた試合でしたが、デュースの末に惜しくも敗れる結果となりました。敗れたものの、カグヤライズのペアの特長であるカウンターや激しいラリー戦が顕著に見られた好試合でした。

第2マッチ:アドリアーナ ディアス vs 長﨑 美柚

ディアス選手は右シェークドライブ型、長﨑選手は左シェークドライブ型です。

注目の対戦カードです。両選手は世界で活躍する選手で、この試合を楽しみにしていたお客さまも多いのではないかと思います。Tリーグでは初対戦になるので、どのような戦術を駆使して戦うのかに注目です。

第1ゲーム ディアス選手のトリッキーなプレーの連続

序盤からディアス選手らしいスマッシュのプレーや厳しいコース取りのプレーで押していきます。ロングサービスを使って、長﨑選手のチキータを封じている様子が見られます。カットブロックや流しのフリックなどテクニック満載のディアス選手のプレーが光り、好調な様子です。いい流れのまま第1ゲームを11-5で先取します。

第2ゲーム 戦術を変えてきた長﨑選手

この第2ゲームでは長﨑選手のギアが一段階上がります。序盤から長﨑選手の両ハンドドライブが入るようになり、ディアス選手が押される展開になります。長﨑選手は少し弧線を描いた遅いボールを送り、ディアス選手のミート打ちのタイミングをずらしてきます。この長﨑選手の戦術でディアス選手が思うように試合を進められなくなり、ミスが増えてしまいます。ディアス選手は第2ゲームを8-11で落とします。

第3ゲーム 最後まで接戦になる

1ゲームずつ取った両選手は、さらに攻撃的な展開で点数を取りにいきます。両選手は、三球目攻撃や四球目攻撃でストレートを狙い、得点を重ねます。大きく点差が開くことはなく、一進一退で試合が進み、10-10まで競る展開になりました。

1本勝負では、長﨑選手が三球目攻撃をします。それに対し、ディアス選手は少し撫でるかのような回転を上書きしたブロックを送り、長﨑選手の5球目をオーバーさせました。第3ゲームは11-10でディアス選手が接戦をものにします。

第4ゲーム いい流れのまま突き進むディアス選手

第3ゲームの接戦を制したことで、ディアス選手にいい流れができます。三球目攻撃をしっかり決め、サービスレシーブではツッツキを送り長﨑選手のミスを誘います。大きく点差が開き、気持ちの余裕が出たのか、ディアス選手は得意のミート打ちなどを仕掛けていき、点数に繋げます。この展開でディアス選手は押し切り、第4ゲームを11-3で取りました。結果、ゲームカウント3-1で勝利しました。

ここ数日の試合でなかなか勝ち星を挙げられていなかったディアス選手でしたが、今試合で嬉しい2勝目を挙げました。ディアス選手らしいプレーの連続で、大いに会場を盛り上げてくれました。

第3マッチ:牧野 里菜 vs ホージュオジア

牧野選手は右シェークドライブ型、ホー選手は右シェーク異質攻撃型です。

カグヤライズからは、久々の出場となる牧野選手がコートに入ります。相手は世界ランキング32位にも入る中国籍のホー選手です。ホー選手は成本選手のような変化表ソフトをバックに貼っています。この変化表をどう攻略できるかで試合の流れが大きく変わります。

第1ゲーム ホー選手の変化のあるボールに苦戦

牧野選手は高校生らしいスピードのあるボールで押していきます。しかし、ホー選手のような変回表ソフトを貼っている選手との初対戦では、牧野選手に限らず相手の球質に慣れるのに時間がかかります。危惧したとおり、ラリー戦になると、牧野選手はホー選手のフォアの上回転とバックの変化に引っかかってしまいます。終盤にかけて、牧野選手はいいプレーをしはじめますが、要所で変化に苦しみ、第1ゲームを8-11で落とします。

第2ゲーム スピードのあるボールで連打する牧野選手

第1ゲームとは違い、牧野選手はホー選手の変化のあるボールに対してツッツキを使って無理に攻めない展開にしていきます。ツッツキを使い分け、少し浮いたところでドライブを打ち込み連打します。牧野選手は前のゲームより変化に対応していますが、ラリーになると変化にはまり、欲しい1点が取れません。チャンスを掴めず、第2ゲームを7-11で落とします。

第3ゲーム 緩急を使い、ラリー戦の主導権を握る牧野選手

後がない牧野選手ですが、この第3ゲームで巧く変化に対応します。ホー選手の変化のあるボールには緩急をつけたボールで返球し、対上回転の時には前中陣でホー選手を左右に揺さぶり、台から下げさせていきます。この展開が功を奏し、大きくリードを広げます!世界でも上位に入るホー選手は負けじと追いつき、ついには逆転され、先にマッチポイントを握られます。それでも牧野選手は諦めずフリックからの速い展開で10-10に追いつきました。

1本勝負でもラリー展開になり、両選手は攻撃の手を緩めません。大きなラリー展開の最後にミドルを攻めた牧野選手が第3ゲームを制しました。第3ゲームを11-10で取り返します。

第4ゲーム 牧野選手の両ハンドが炸裂

第3ゲームの接戦を乗り切った牧野選手は、さらに自信がついたのか、キレのある両ハンドを振っていきます。牧野選手は、順横系のサービスからホー選手の打球に合わせてドライブの回転量を調節し、速い展開でホー選手を左右に動かします。変化のあるボールで多少ミスは出るものの、前半のゲームより変化に対応し、自身の特長である両ハンドに繋げられています。コースをついた両ハンドで得点を重ね、第4ゲームを11-7で連取します。

ファイナルゲーム 最後までどちらが勝つか分からない状況に

Tリーグでは、ファイナルゲームは6-6から始まります。1本目からバック対バックのラリー戦になり、牧野選手はフォア側へ逃げていくような1本を見せ、ホー選手を困惑させます。その後はバックの強打が決まり8-6でリードします。さすがのホー選手もこのタイミングでタイムアウトを取り、作戦を練り直している様子です。タイムアウト明けにホー選手はサービスをバックサービスに切り替え、自身のサービスで2本取り返します。

8-8から牧野選手はサービスエースで1本取りますが、もう1本はホー選手にラリーで粘られ、9-9の展開に持ち込まれます。9-9という緊張する場面でホー選手は最初の1本を弧線の高いループドライブで返球し、牧野選手はミスを誘われてしまいます。9-10でホー選手がもう一度バックサービスを出し、牧野選手は少し力が入ってしまったのかレシーブミスになりました。ファイナルゲームは9-11で落とし、ゲームカウント2-3で敗戦となりました。

大接戦のとても見ごたえのあるラリー戦でした。牧野選手のシングルス初勝利になりそうでしたが、惜しくも敗れ、とても悔しい表情をしていました。この1戦は、牧野選手にとって今後の進化に繋がる大きなきっかけになるはずです。

第4マッチ:枝廣 愛 vs 面手 凛

マッチカウント1-2の窮地で枝廣選手に出番が回ってきました。枝廣選手、面手選手は右シェークドライブ型です。同じ戦型ではあるものの、少し違うプレースタイルなので、それぞれがどのように攻めるのか注目です。

第1ゲーム バック対バックの激しいラリー戦

両選手は巻き込みサービスから前陣での速いラリーで点数を重ねます。両者共に似たスタイルで試合を展開するため、相手をどのように崩すかが重要になってきます。枝廣選手は面手選手とのラリーで回転量を調整し、面手選手のミスを誘っていきます。この戦術が功を奏し、終盤で逆転して、第1ゲームを11-9で先取します。

第2ゲーム 枝廣選手の緩急を使った攻撃

枝廣選手は回転量を調整したラリーに加え、緩急も使い、面手選手の速い展開の攻撃を封じます。緩い攻撃に意識を集中させることで、次の攻撃を予想しづらくさせます。この展開で、枝廣選手のチキータやストレート攻撃が徐々に効いていき、大幅にリードを広げます。枝廣選手は落ち着いた様子で最後まで攻め続け、第1ゲームに続き、第2ゲームを11-3で連取します。

第3ゲーム 弧線の高さでミスを誘う枝廣選手

第2ゲームの流れが続き、枝廣選手は3-0でリードしていきます。面手選手にタイムアウトを取らせた後も、枝廣選手は弧線の高い回転量が多いドライブを使い、面手選手の速い攻撃を封じます。しかし中盤あたりから第1ゲームで見られた速いラリー戦に戻ってしまい、枝廣選手は面手選手の速い攻撃に押され、失点。ついには6-6の同点に追いつかれます。ここから枝廣選手は回転量の多いドライブに切り替え、面手選手のミスを誘う展開にします。この判断が有利に働き、枝廣選手は3点を連取してリードを広げます。最後まで焦ることなく、面手選手のドライブに対し、体制が整ったブロックで合わせて締めました。第3ゲームを11-7で取り、ゲームカウント3-0で勝利しました。

枝廣選手はシングルスで嬉しい2勝目を挙げました。相手の特長を封じた戦術は試合終盤まで効き、枝廣選手の試合展開の巧さが光った試合でした。

ビクトリーマッチ:アドリアーナ ディアス vs ホージュオジア

2-2の大接戦、ビクトリーマッチまでもつれ込む試合となりました。両選手とも、入念に準備を済ませて試合に挑みます。

ディアス選手は右シェークドライブ型、ホー選手は右シェーク異質攻撃型です。

1ゲームのみの短期決戦ということで、ディアス選手はホー選手のバックの変化形表ソフトに如何に早く慣れられるかが勝負の決め手となります。

ビクトリーマッチ 

ホー選手は1球目から巻き込みモーションの下回転ロングサービスで攻めてきます。ホー選手は先にディアス選手に打たせてからバック対バックのラリーに持ち込み、変化で得点する戦術を組んできます。ディアス選手はストレート攻撃を使い、ホー選手を左右に揺さぶり台から下がらせていきます。試合が進むとラリー戦も増え、ディアス選手がホー選手の変化表に苦しみます。中盤まではディアス選手が対フォアのラリーの技術で相手を上回っていましたが、終盤では対フォアのラリーでホー選手の得点に繋がる展開が増えてしまいました。最後もホー選手の回転量の分かりづらい変化に押され、ゲームカウント0-1で敗戦となりました。

ホー選手のバックの変化形表を如何に早く攻略するかが試合の肝となりましたが、ディアス選手は中盤から終盤にかけて変化に苦しんでいた様子でした。ディアス選手の特長であるミート打ちが封じられ、悔しい試合になりました。

2023年12月9日、京都カグヤライズ vs 木下アビエル神奈川は木下アビエル神奈川に軍配が上がる!

木下アビエル神奈川との3戦目はどの試合も白熱し、ビクトリーマッチにもつれ込む激戦となりました。惜しくも2-3で敗れましたが、勝ち点1を獲得し、京都カグヤライズとしてまた一歩前進したと思います。翌日も、同会場の霧島市国分体育館でホーム2戦目が行われます。次こそは勝利して、クリスマスに予定されている大阪府茨木市でのホーム戦にいい流れで繋ぎたいです。

(Photo by T.LEAGUE/AFLO SPORT)

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ライタープロフィール

記事を書いた人

清水 大暉

京都カグヤライズインターン生。 
中1から卓球を始める。高3で区切りをつけようとしたが、コロナウイルスの影響で学生生活最後の大会が中止に。そこで悔いが残り、卓球の道に進もうと決意。今では趣味で卓球を続け、国際試合や海外リーグの試合をよく観ている。
好きな選手は丹羽選手・酒井選手・モーレゴード選手・ティモボル選手などなど。