京都カグヤライズ vs 日本ペイントマレッツ 立命館いばらきフューチャープラザ ノジマTリーグ 2023-2024

京都カグヤライズ 2023-2024シーズン 12戦目の相手は、3度目の対戦となる日本ペイントマレッツです。前回の対戦は京都カグヤライズのホーム戦で、1-3での敗戦という結果になっています。ホーム戦での日本ペイントマレッツとの戦いは2度目。前回以上にお客さまの声援を力に変え、勝利を目指します。

2023年12月24日 ベンチ入りメンバー

  • 松島 美空 選手
  • 成本 綾海 選手
  • 出雲 美空 選手
  • アドリアーナ ディアス 選手
  • 田村 美佳 選手
  • 枝廣 愛 選手

約1ヶ月ぶりに田村選手と成本選手、約3ヶ月ぶりに出雲選手が合流しました。左利きの成本選手と出雲選手がベンチ入りし、ダブルスではどのペアが組まれるのか楽しみな一戦です。

また今試合のオーダーは、全てTリーグで初対戦という珍しいオーダーになりました。どのような試合になるのか、気持ちが高まります。

▼用語紹介
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第1マッチ:成本 綾海・枝廣 愛 vs 芝田 沙希・大藤 沙月

成本選手は左シェーク異質攻撃型、枝廣選手は右シェークドライブ型です。芝田選手と大藤選手は右シェークドライブ型です。

成本選手と枝廣選手の初ペアが起用されました。対するマレッツペアは芝田選手と大藤選手のペアです。今シーズン中でカグヤライズは芝田選手・大藤選手ペアと3度目の対戦になりますが、成本選手と枝廣選手のペアでの対戦は初めてとなります。連続して対戦するマレッツペアに対して、カグヤライズはどのような戦術を指示し、成本選手と枝廣選手がどのようなプレーに持ち込むのか注目です。

第1ゲーム カグヤライズペアがラリー戦で有利に

前回の対戦で成本選手・工藤選手のカグヤライズペアに敗れているマレッツペアは、今回の成本選手・枝廣選手にも警戒してか、序盤から攻撃的な展開でリードしてきます。カグヤライズペアは出だしで様子を見ながら、中盤あたりからサービスの展開で点数を重ねます。試合が進むにつれてラリー戦が増え、右左ペアならではの動きやすさを活かしたカグヤライズペアの有利な状況が続きます。カグヤライズペアがゲームポイントを握った後、マレッツペアの攻撃的なプレーで追いつかれそうになりますが、10-9で枝廣選手の厳しいレシーブから成本選手の4球目でカウンターを決めきりました。第1ゲームを11-9で先取します。

第2ゲーム マレッツペアの厳しいコース取りに苦戦

第1ゲームの流れを維持することで、カグヤライズペアが第2ゲームでもリードを保ちます。第1ゲームでも得点源となった枝廣選手のループドライブが効き、マレッツペアは流れを断ち切りたいのか、タイムアウトを取ってきます。いい流れで試合が進んでいましたが、タイムアウト明けからカグヤライズの流れが止まり、マレッツペアの勢いが増します。ラリー戦になると、先にカグヤライズペアがミスをしてしまい、点数を重ねられません。中盤から10連続得点を許し、第2ゲームを5-11で落とします。

ファイナルゲーム 成本選手の飛びつきから流れを掴む

Tリーグでは6-6から始まるファイナルゲーム。第2ゲームで生まれたカグヤライズペアにとっての悪い流れはなくなり、両ペアが1点ずつ取り合う一進一退の攻防が続きます。8-8で成本選手のサービスになると、1本目は成本選手のサービスから枝廣選手のループドライブ、成本選手の飛びつきで得点します。2本目は枝廣選手がうまく大藤選手のバックミドルを突き、10-8でマッチポイントを握ります。

ここで決めたいカグヤライズペアに、緊張感が走ります。この重要な場面で、枝廣選手が安定したレシーブを入れ、成本選手が大藤選手の回転を抑え込んだ技ありのカウンターで決めました。ファイナルゲームは11-8で取り、ゲームカウント2-1で勝利しました。

カグヤライズがマレッツのダブルスに対し、2連勝です。今試合は成本選手と枝廣選手の初めてのペアリングでした。成本選手の思い切りのいい攻撃と枝廣選手の回転を重視したプレーがうまくかみ合い、初めて組んだペアとは思えないペアリングを見せてくれました。

第2マッチ:出雲 美空 vs 大藤 沙月

Tリーグでは初対戦の組み合わせになりました。出雲選手は左シェーク異質攻撃型、大藤選手は右シェークドライブ型です。

変化とミート打ちが特長の出雲選手と速い両ハンドで攻撃的な展開を作る大藤選手の対戦は、サービスからの速攻で試合が進むと予想されます。

第1ゲーム 大藤選手の対応能力の高さ

大藤選手は、例えば成本選手のような裏面に異質ラバーを貼っている選手との対戦経験が多く、異質攻撃型の選手に強いイメージがあります。出雲選手と成本選手は、異質ラバーの中でも「変化表」と言われるナックルボールを出せるラバーを貼っています。このナックルボールが出雲選手の強みになるはずですが、大藤選手は苦にせずレシーブします。出雲選手としては変化をつけつつ崩したいところですが、大藤選手に対応されてしまい、第1ゲームを2-11で落とします。

第2ゲーム 大藤選手のサービスモーションの複雑さ

第1ゲームで変化をつけたプレーが効かないと判断した出雲選手は、第2ゲームでミート打ちをする展開に切り変えます。また、大藤選手を前陣で左右に揺さぶり、速い展開を封じます。この2つの戦術が序盤から中盤にかけて効いていました。しかし、終盤でサービスレシーブのミスを2本出してしまい、流れが大藤選手に傾いてしまいます。2本追いつきたいところで、出雲選手はまたもサービスレシーブのミスをしてしまい、第2ゲームを8-11で落とします。

第3ゲーム 大藤選手の両ハンドに押される

第2ゲームから引き続き大藤選手の流れが続くも、出雲選手は対抗します。両選手共に速い展開に加えて厳しいコース取りで得点を重ねます。出雲選手は第2ゲーム同様に大藤選手を左右に揺さぶり、チャンスがきたところで攻め込みます。しかし、ラリー戦になると大藤選手の両ハンドの強さが際立ち、出雲選手が先にミスをしてしまう展開が増えてしまいます。終盤には大藤選手に先手を取られ、大きく点差を開かれてしまいました。第3ゲームを8-11で落とし、ゲームカウント0-3で敗戦となりました。

Tリーグでの初対戦は出雲選手が敗れる結果になりました。大藤選手の両ハンドの得点率が終始目立ち、出雲選手のプレーが押される試合展開でした。

第3マッチ:成本 綾海 vs 橋本 帆乃香

Tリーグでは初対戦の組み合わせです。成本選手は左シェーク異質攻撃型、橋本選手は右シェークカット型です。

成本選手はカット打ちに定評があり、昨シーズンでは同じカットマンの佐藤選手に勝利しています。どのようなカット打ちで試合を進めるのかが見どころです。

第1ゲーム 両選手の攻守のバランスが取れたラリー

両選手はそれぞれの攻撃スタイルを維持しながら、様子を見つつ試合を進めます。成本選手は回転を残したレシーブや思い切りのいいフォアハンドで、橋本選手は切れたカットとナックルカットを混ぜたカットやカウンターで得点を重ねます。9-9からの2本で、成本選手は回転量を重視したドライブで橋本選手のレシーブをオーバーさせ、第1ゲームを11-9で逃げ切ります。

第2ゲーム 橋本選手が小さな変化をつける

第2ゲームでも接戦が続きます。6-6まではお互いにサービスからの展開で取り取られる内容になりますが、6-6以降から橋本選手が小さな変化を加えてきます。橋本選手はサービスでの回転量やトスの高さ、カット時のモーションなどの変化をつけて得点を重ね、成本選手はその変化に引っかかってしまいます。第2ゲームは7-11で落とします。

第3ゲーム 長いラリー戦が増える

1ゲームずつ取り合い、お互いのレシーブに取り慣れてきます。第1ゲームと比べると、明らかにラリーになる回数が増えています。長いラリー戦では少し橋本選手に分がある状況で、成本選手が打ち急いでしまう展開が見られました。その少しの焦りからかレシーブが浮いてしまい、橋本選手のカウンターが決まってしまいます。第3ゲームは6-11で落とします。

第4ゲーム 成本選手の角度を合わせたレシーブが光る

序盤から一歩も引かない攻守の激しいラリーが続き、緊張感が走ります。第3ゲームから一つ変わった点として、成本選手が橋本選手の攻撃を角度を合わせて返し、得点に繋ぐ展開が多く見られます。成本選手のように、裏面に変化表のような粒の高いラバーを貼っていると、相手のスマッシュを返す際にラバーの粒が倒れ、ボールが落ちやすくなります。しかし、成本選手はボールに面を当てたときの角度を少し上げることで、ボールの落下を防ぎ、見事にレシーブしています。ラリーはお互いに譲らない展開となり、成本選手はコースを振り分けながら攻め込みます。終盤のラリーでも最後の最後まで粘り、第4ゲームを11-9で取り返します。

ファイナルゲーム  落ち着いたプレーをする成本選手

Tリーグでは6-6から始まるファイナルゲーム。第4ゲームでの接戦をものにした成本選手は落ち着いています。ネットインしたボールにも素早く反応し、取りきります。一方の橋本選手は攻撃時にミスが続き、少し焦りが見られます。成本選手が10-7でマッチポイントを握りますが、橋本選手はミスから次への展開に切り替え、じわじわと追いついてきます。10-9で橋本選手のサービスから成本選手が落ち着いたレシーブをし、3球目で横上のカットを橋本選手が送ります。成本選手はこのカットを見逃さず、5球目でシュートドライブで入れ、7球目で強打をして決めました。ファイナルゲームは成本選手が11-9で取り、ゲームカウント3-2で勝利しました。

激しい攻防が見られた第3マッチでした。両選手は技術的には大差がないものの、最後まで落ち着いたプレーをした成本選手が精神力の面で上回ったと感じられる試合内容となりました。

第4マッチ:アドリアーナ ディアス vs 横井 咲桜

こちらはTリーグで初対戦となりました。ディアス選手、横井選手は右シェークドライブ型です。

両ハンドを駆使し、前陣から後陣まで幅広くプレーする選手同士の対戦です。今、勢いのある横井選手に対し、ディアス選手はどのように横井選手の攻撃を封じるのかが、勝利へのカギになります。

第1ゲーム 横井選手の攻撃的な展開に押される

序盤から横井選手がサービスから両ハンドドライブを仕掛けてきます。横井選手の特長として質の高い両ハンドドライブがあります。ディアス選手は横井選手のミスのない両ハンドを振られ、押されてしまう展開が続きます。カウンターの精度やボールのスピードでは互角ですが、サービスレシーブで差が生まれ、横井選手に先手を許してしまう場面が多くなってしまいます。ディアス選手は横井選手の勢いに押され、なかなか流れを掴むことができず、第1ゲームを7-11で落とします。

第2ゲーム ディアス選手の緻密な戦術

ディアス選手は第2ゲームからさまざまな工夫をして、横井選手に攻撃を仕掛けます。まず、サービスのコースの配球を散らし、横井選手の万全の状態で構えたレシーブを封じます。バック側に出したサービスでは、横井選手がチキータやバックドライブを打ってくるのでミート打ちを、フォア側に出したサービスではなるべく先手を仕掛けるといった戦術で点数を重ねます。そこに横井選手のミスも増えて、ディアス選手に流れがきます。第2ゲームを11-5で取り返します。

第3ゲーム 横井選手の一方的な展開に

第3ゲームでは第1ゲームと似た形で、横井選手の両ハンドのキレが増した状態で試合が進んでしまいます。横井選手が先手を仕掛け、ミスのない両ハンドを振り、ディアス選手は台から下げさせられてしまう展開が多く見られます。横井選手が放つ横回転交じりのサービスに、ディアス選手のレシーブが浮いてしまいます。開いた点差を詰めたいところですがなかなか打開策が見つからず、ディアス選手は第3ゲームを3-11で落とします。なかなか打開策が見つからず、第3ゲームを3-11で落とします。

第4ゲーム プレー領域を変えたディアス選手

後がないディアス選手ですが、プレーの中で前ゲームから変えた点がまたひとつ見られます。横井選手の打球に対して、台から下がらないことです。これにより、前陣で横井選手にプレッシャーをかけられます。この作戦が功を奏し、ディアス選手は3点目の前陣での高速ラリーを制圧!ここから流れに乗ります。中盤あたりから横井選手のミスが増え、ディアス選手は10-4でゲームポイントを握ります。このまま逃げ切れるかと思いきや横井選手が追従し、点差を詰められてしまいます。しかしディアス選手はここでタイムアウトを取って流れを変え、タイムアウト明けに緩い攻撃を使って得点。落ち着いて試合を締めました。第4ゲームを11-7で取り返します。

ファイナルゲーム 最後の最後までわからない試合展開

Tリーグでは6-6から始まるファイナルゲーム。まず、横井選手が自身のサービス展開で2点取ってきます。ディアス選手も負けじと自身のサービス展開で2点取り、8-8になります。次の1本ではラリー戦になり取られてしまいますが、2本目で回転量を重視したドライブで得点し9-9に追いつきます。ディアス選手のサービスになり、1本目を横井選手のカウンターにより取られますが、2本目は横井選手のミスに助けられデュースに持ち込まれます。

第2・第4ゲームを見ると、横井選手が先手を仕掛けたボールでミスがあるシチュエーションでは、ディアス選手にとって悪い流れにはなっていません。このファイナルゲームでもデュースからの1本目に横井選手のミスがあり、ディアス選手は11-10でマッチポイントを握ります。緊張感が走る中で、ディアス選手は投げ上げサービスの切れた下回転ロングサービスを初めて出し、サービスエースで決めました。ファイナルゲームを12-10で取り、ゲームカウント3-2で勝利しました。

ディアス選手は勝利の瞬間、笑顔をこぼしました。ゲームごとでの戦術転換や、試合を決めたサービスのように終盤まで見せなかった技をここぞという場面で出すなど、世界トッププレイヤーの技が光る試合を見せてくれました。最後の最後まで、ディアス選手の精神力の強さに唸らされる試合内容でした。

2023年12月24日、京都カグヤライズ vs 日本ペイントマレッツは京都カグヤライズに軍配が上がる!

昨シーズンからTリーグに参戦して以来、日本ペイントマレッツに初めて勝利しました。池袋監督は「4年間お世話になったチームであり、初めて勝利できて嬉しい。」と話されていました。昨シーズンから共に戦っている、成本選手・田村選手・松島選手の3選手は特に嬉しかったのではないかと思います。

今回の対戦で獲得した3つの試合はすべてフルゲームで、この接戦を勝ち切った選手たちは次の試合への自信を得たと思います。次の試合も同会場でのホーム戦が続きます。いい流れを保ちつつ、ホーム戦での2連勝が叶うように、しっかり準備して試合に臨みます。

ライタープロフィール

記事を書いた人

清水 大暉

京都カグヤライズインターン生。 
中1から卓球を始める。高3で区切りをつけようとしたが、コロナウイルスの影響で学生生活最後の大会が中止に。そこで悔いが残り、卓球の道に進もうと決意。今では趣味で卓球を続け、国際試合や海外リーグの試合をよく観ている。
好きな選手は丹羽選手・酒井選手・モーレゴード選手・ティモボル選手などなど。